ふとしたきっかけで、ヨーロッパ中を旅していたというバックパッカーの女性と知り合う機会があった。
ヨーロッパ歴1ヶ月くらいしかない僕からすると大先輩(年齢は同じくらい)
そんな大先輩に対して軽率な発言はできないと思い、発言を謹んでいたのだけれど、つい我慢できず「イビサ島ってとこなら行ったことある」とポロッとこぼしたところ、
「え、イビサ島行ったの!?」というまさかの展開に。彼女もイビサ島を訪れていたらしい。
これは奇遇。というのも、イビサ島に行ったことのある人と出会ったことがないはもちろん、イビサ島の存在を知っている人がそもそもいない。僕の体感として、10人に1人いればいいくらい。なので、現地を訪れたことがある人に出会えるのは奇跡に近い。当然、話が弾んじゃってしょうがない。
イビサで過ごした日々は、人生で一番楽しかった時間の一つなんじゃないかな。深夜5時までクラブで踊って、昼にダラダラ起きて、綺麗なビーチでランチして、夕方までジェラートを食べながらショッピングを楽しんで、夜景を見ながらディナーして、また朝5時までクラブで踊って、
こんな生活が1週間も2週間も続く。個人的に「人をダメにする島」と呼んでいます。でも、そんな背徳感のようなものを感じつつも、毎日がめちゃくちゃ楽しい。最高に。
以前は色んな国に行って、色んな文化や生活を見てみたいという気持ちが強かったけれど、最近はそういうのが薄れつつある。「ここだ!」という1箇所に何度も足を運びたいスタイルにシフトしている。
その「ここだ!」というのがイビサ。最後に行ったのが8年前。なんだかんだで結構な月日が経つ。日本から30時間くらいかかるし、費用もそれなりにかかるのでそう簡単にいけるものでもない。それに、イビサにはパーティーシーズン(7月〜9月)があるので、その期間に行かなければクラブはクローズしている。
おまけにこのパンデミック。観光収入が多くを占めるであろうイビサでは有名クラブが閉鎖するなどの事態が発生。行こうと思ってもタイミングを掴むのが本当に難しい。
せっかく行くなら2週間くらいは滞在したい。逆に短期で行こうとすると、時差にカラダが慣れていないのでツラいと思う。それに、1〜2日あればグルっと一周できてしまうほどの小さい島ではあるけれど、見所がたくさんある。一番の醍醐味はナイトクラブだけれど、無数のビーチやレストラン、カフェ、ビューポイントなど、楽しみ方がたくさんある。
同じ地中海なのに、ビーチによって様相が異なるのが本当に面白い。ファミリーで賑わうビーチ、オシャレなレストランが立ち並ぶビーチ、世界一のサンセットを楽しめるビーチ、ヌーディストが集まるビーチ、波の音しか聴こえない静かなビーチなど、自分好みのビーチを散策するのが最高に楽しい。
旅行や観光というと、ガイドブックに載っている名所などを巡るイメージがあるけれど、個人的にはそういう旅の仕方はあまり好きではない。見ることが目的化してしまうし、明日はここ行って、明後日はこれして、のように時間に追われている感じがしてなんか疲れてしまう。
そもそも、イビサではそういうことがあまりない。どちらかというと「散策」に近い形で旅ができるので毎日が楽しい。いい意味でノープラン。昨日は東のほう行ったから、今日は北のほうに行ってみようかな、明日は近場で美味しいものでも食べようかな的な感じ。超マイペース。時間という概念が存在しないのがイビサだと思う。日本にいると常に「時間」に追われていると思う。だからこそ旅行では時間を忘れて、特に目的も決めないで、その日の気分でその日の過ごし方を決める。そういうマイペースな旅の仕方も面白いんじゃないかと思っている。
「ヌーディストビーチ行った?」と彼女に冗談で聞くと
「行ったよ(笑)」という返事。
「脱いだ?」と冗談で聞くと
「脱いだよ(笑)」という返事。
厳密に言うと、ヌーディストビーチというのは存在せず、どこのビーチに行っても脱いでる人は脱いでます。どこのビーチだか忘れたけれど、そこのビーチはそれこそヌーディストのほうが多くて、服を着てる僕のほうがなぜか気まずくなるようなこともあった。
もし江ノ島で全裸になれば、それこそ公然わいせつの罪に問われかねないけれど、向こうの感覚からすればヌーディストなんてのは珍しくないんだと思う。初めて目にした時は少し驚くけれど、3日目くらいになると、目も慣れてくるので、もはや風景と同化してなにも感じなくなります。
「一回行ったんだからいいじゃん」的なことも言われるけれど、僕からすれば「一回しか行ってない」と感じている。逆に一回行くとハマってしまって、またすぐに行きたくなってしまう。食事も文化も言葉も人々の考えも違うから、本当なら色々疲れてホームシックになるはずなんだけれど、まったく。またすぐ行きたくなる。
あんな楽しい場所は他には知らない。
行こう行こうと思ってもなかなか行かないし、今年も行けないので「来年は絶対に行く」という強い意志を持ってこの一年を過ごそうと思う。