【筋トレよりも】FMSセミナーに参加してきた話【大切なこと】

カラダの使い方」なんてのを意識したのはいつからだろう。

恐らく、全てのはじまりは山をはじめてからだろう。どうもカラダが重かったのである。僕が登山をはじめたのが29歳の時。その時すでに、筋トレは20年近く続けてきたので、そこそこ体力には自信があった。

だが、今でも鮮明に覚えている。高齢者が普通に登る山を、息をゼェハァさせながら登ったことを。その時「今までの筋トレはなんだったんだ…」と、否定的な気持ちになったことも覚えている。

その頃から、カラダの使い方や筋トレに対する意識がガラリと変わってきた。

登山というのは不思議なスポーツで、できるだけ筋肉は使わないほうがいいのである。理由は単純。疲れるから。筋肉を使えばそれだけエネルギーが必要になるのだ。

だから、僕はいかに筋肉を使わないかということばかり考えている。やや小難しく言うと、物理法則に則って、カラダをいかに効率良く動かせるかを考えている。ランニングでいうところの「ランニングエコノミー」のような意味合いだ。

しかし、ここで従来のような筋トレ的な発想だと「筋肉が弱いからだ」「もっと鍛えたほうがいい」としか考えられなくなってしまう。

だが、それ以前に「どうして疲れるのか?」「効率的な動きはできているのか?」「本当に筋肉を鍛える必要があるのか?」ということを考えなければならない。

正しい動きがベースにあるからこそ、本来の弱点が見えてくるものなのだ。

僕が今までやってきた筋トレというのは、あえて非効率な動きをすることで、筋肉を鍛えるものであった。できるだけ反動は使わずにゆっくりやったほうがいいし、起点からもブレないほういい。そのほうがロスなく筋肉に刺激を与えることができるからだ。要は「筋肉に効かせること」を第一に考えたものであること。

一方、登山やランニングでは、できるだけ非効率な動きを排除しなければならない。重心移動をスムーズにおこなう、一箇所に疲労が蓄積しないようにする、スピードを殺すのではなく生かすようにカラダを動かすなど。円滑なパフォーマンスを発揮することが目的であり、できるだけ「筋肉に効かないように」しなければならない。

同じ運動でも考え方は対極にあるのだ。もちろん、最低限の筋肉は必要だし、筋肉を付けておくことで疲労に対するバッファーゾーン(余裕)を広げることにも繋がる。だが、実際の登山では、筋肉を疲労させるようなカラダを使い方をしてはならないのである。もしそんなことをすれば、数時間も持たないし、数日間に渡る縦走なんてできっこない。省エネを優先して考えなければならないのである。

そういう意味では、先日出場した神戸六甲縦走トレイルラン大会では、自分の中では上手に走れたと感じている。(「最後まで一貫したフォームを保つこと」を参照)

日本人で唯一8000m峰完全登頂を達成したプロ登山家の竹内洋岳氏。彼の著書に非常に興味深い一節があった。

登山家には、いわゆる”山男”のイメージが持たれているのかもしれません。重い荷物を担いで山道を登るには、たくましい肉体が必要になると思われているのでしょうか。私は身長180cm、体重は65kgです。筋肉量は、おそらく山に登らない一般の人よりも少ないでしょう。

出典:標高8000メートルを生き抜く 登山の哲学

ジムにも通っていないし、肉体的なトレーニングもしていないそうだ。むしろ、筋肉は少なければ少ないほど良いとさえ語っている。ただ、普段から気にしていることが「まっすぐ歩くこと」。つま先の角度が外や内に向いていれば、進行方向に対して使われるべきエネルギーがロスする。また、体勢が傾いたりすると、元に戻すためにエネルギーを使ってしまう、とのこと。

竹内洋岳氏(ダウラギリ山頂)

この点について、非常に思い当たることがある。僕も、登山やランニングのために、なにか特別なトレーニングをしているかと言えばNOである。ただし、普段から意識しているのが、平地では背筋を伸ばして歩くこと、まっすぐ歩くこと。そして、階段ではカラダをやや前方に傾けて上がること(重心移動)、かかとを浮かせないこと(フラットフッティング)などだ。

普段から意識付けしておくことで、いざ本番になった時も、自然とその動きを再現することができると感じている。お陰で以前よりも筋肉へのダメージは減ったし、ラクに動くことができている。長距離のトレイルランニングをしても、翌日は普通に過ごすこともできている。カラダの使い方ひとつでこんなに違うんだな、って思った。

とまぁそんな感じで、日々色々考えているわけだが、益々カラダの使い方について興味が湧いてきたので、

ゴールデンウィークを利用して、FMSの資格取得のためのセミナーに参加してきた。FMSとは、Functional Movement Screenの略で、日常生活やスポーツシーンにおいて、障害リスクとなる可能性となる動きを判別するというものである。

今年の1月に受講予定だったが、ヤツ(コロナ)の仕業で、2度の延期を経て、やっと受講できたのだ。

3日間、朝9時から夜7時まで、みっちり勉強させていただいた。今まで触れたことのない分野だったので、正直かなり苦戦した。受講生は主に理学療法士や柔道整復師、アスレティックトレーナーの方々が中心。

普段、個人で活動している僕にとっては、こうした方々と触れ合うのはとても刺激的な機会であった。そして、2つの認定試験にも無事に合格できたことが、なにより安心だった。

FMS Lv.1
FMS Lv.2

人のカラダを見ることもそうだが、僕自身が現役のアスリート(?)として活動している以上、カラダの使い方を学べたことはとても大きな財産となった。

一度ですべて理解できたわけではないので、再受講しながら、知識をブラッシュアップしていきたい。

著:山本正嘉
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