2022年の振り返り|Function is Beauty

2022年がどんな年であったかと言うと「自分の中での答えが固まってきた年」だったなと言えます。

ちょうど去年の今くらいだったと思います。身体の知識を深めるために医療系の国家資格がほしいな、と考えていたところです。鍼灸師なのか、指圧師なのか、柔道整復師なのか、理学療法士なのか。体系的に身体のことを学びたいと考えていた自分にとってはどれも魅力的でした。

ちょうどその頃、高岡英夫さんの著書を読み漁っていたところです。あまりに独特な理論なので、学生の頃に読んだ時は頭の中が「?」でした。それが、最近はスッと入ってくるようになりました。なぜだろうと考えたのですが、恐らく、意識することが変わったからだと思います。

なにせそれまではアウターマッスル至上主義的なところがありましたので、いかにエンジンのサイズや出力を上げることを中心に考えていましたから。今は、それよりもいかにエンジンの性能を引き出し、効率よく回転させることができるかということを考えるようになりました。Power is Beautyから、Function is beauty的な考えです。結果的に、それが高岡理論とリンクしていくようになり、理解がし易くなったのだと思います。

その頃、奇しくもピラティスインストラクターの知人がいたことも転機となりました。当時の僕のピラティスの知識といえば「インナーマッスルを鍛えるエクササイズ」「負傷兵のリハビリのために開発された」「韓国女子の間で流行ってる」くらいの認識でした。

ただ、調べていくうちに直感的に「あぁ、これだ」と感じたわけです。しなやかで、ダイナミックで、芯があって、上品な動き。素人目にもわかる素晴らしいボディワークだな感じました。今もまさに修行の真っ最中なわけですが、ピラティスほど「ニュートラル、ニュートラル」と言われるボディワークは他にはないのではなでしょうか。

話逸れますが、僕自身、このニュートラルがなによりも大切だと考えています。

ニュートラルというのは、姿勢がまっすぐ整った状態のこと。人間のデフォルト(初期状態)ですから、すべての生活や動き、の基点となるものだと考えています。逆にニュートラルに近ければ近いほど、あらゆることに適応する能力が高くなる。

普段からニュートラルを意識できていない、あるいは知らないのに、さまざまな生活や動き、運動に適応できる?と思うからです。わかりやすく言えば、いつも猫背の人がいきなりトレーニングやスポーツを始めたところで、発揮できるパフォーマンスには限度があるし、その前に怪我のリスクがあまりに高いということ。

例えば、ランニングの本を開くと「背筋をまっすぐ伸ばしましょう」的なことが書かれています。しかし、背骨が丸まっている人からすると、背筋を伸ばすこと自体が苦痛ですし、心理的にも違和感を感じるわけです。

僕の指導経験から言えるのは、ニュートラルに近い人ほど、さまざまなタスクやエクササイズへの適応能力が高いこと。そうでない人も、ニュートラルを意識し、正中感覚を強めていくと、あらゆることへの適応がラクになってくる。それは、日常生活や運動時の転倒防止、エネルギー消費の節約、フォームの美しさにも直結していきます。

最近読んだ「座りすぎケア完全マニュアル」によれば、人間の骨格はおよそ110年まで健康でいられるように遺伝子にプログラムされているとのことです。しかし、110年どころか、その1/10にも満たない10代の頃から腰痛や頚部痛に悩まされている人が多いということ。

どんなに素晴らしい配列の背骨を持って生まれてきたとしても、1日の半分を背中を丸めてスマホを覗いていればダメになる。逆に、生まれつきのハンデはありつつも、日頃のケアやメンテナンスを丁寧におこなっていけば、いくらでもパフォーマンスや健康寿命は伸ばせると思っています。

なにが与えられているかという先天的な要素にばかり関心が行きがちですが、それよりも、与えられたものをどう生かしていくかということのほうが遥かに大切なわけですよね。

社会インフラ的な要素を変えていくことは難しい部分もありますが、自分でその妥協点を見つけること、そして決めることが大切です。僕はラクをすれば、どこかでなにかしらの形でツケは必ず返ってくる」と思っている人間ですから、便利と不便の境界線は常日頃意識しています。

今年はJCCAやFMS、Basi Pilatesなどたくさんのセミナーに参加させていただき、身体の勉強をさせていただきました。ある程度の自分の中の考えが固まりましたので、2023年はそれをさらに発展させ、アウトプットしていく年にすると決めています。

今年一年お世話になりました。また来年お会いしましょう。

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