フォームは機能に従う

「フォームは機能に従う、と彼は言った。身体の全てのものが適切なタイミングで、適切な方法で機能していれば、どこにも故障がなく、すべてが連動し、構造的に健全であれば、美しいフォームで走れる。なぜなら、人間の身体はそういうふうにできているからだ。」(P207、ウルトラランナー限界に挑む挑戦者たち、青土社)

そうだよな、と思いました。

「腕はこうやって振る」「足の着地はこんな感じにする」「骨盤の傾きはこう」「あなたにはこのシューズ」など様々なランニングメソッドがあるけれど、指導する時も自分が走る時も、一番大切にしているのが「アライメントを適正化すること」すなわち「良い姿勢を作ること」です。

これ考えてみると当たり前のことなんですけど、普段の姿勢が悪いのに、いざ運動をはじめたところでフォームが良くなることはないから。猫背だったり、反り腰だったり、ガニ股だったり、普段からそういう癖がついてしまっていると、運動しても同じような癖が出ます。そこで「もっとこうして走りましょう」と伝えても、それは半ば強制的に良い姿勢を取らせているだけで、根本的な解決策にならないどころか、無理な努力を強いることにより余計に身体に負担がかかってしまう。

本来は健康になるはずのランニングなのに、「痛めながら走っている人」「どこかをかばいながら走っている人」のほうが恐らく多いのではないでしょうか。それは、ランニングの方法に問題があるというよりも、日常生活の中に問題があると考えています。

Doctor in the Houseというイギリスのドキュメンタリー番組は、医師が自ら患者の自宅に訪問し、その生活を観察するというもの。ただ薬を与えたり、施術をするのではなく、日常の様子に目を向けることで原因を特定し、問題を解決していく番組です。このような取り組みが実際にできるかどうかは別として、問題は「日常の中にある」という気づきを与えてくれます。

良い姿勢を作ると言っても、様々なアプローチ方法があると思いますが、僕の場合はピラティスやコンディショニングトレーニング、ストレッチをメインにおこなっています。実際に自分がランナーであるからこそ、実験体となり、発見することが多くあります。細かいランニングメソッドについては、後々いくらでも修正できるとして、まずはアライメントを適正化することが大切だと感じています。

日常生活に目を向けてみる。

著:アダーナン フィン, 翻訳:児島 修
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