【国内最難関ルート】(後編)3泊4日、北アルプスのジャンダルムと大キレットをソロテント泊で縦走してきた話

前回の続きになります。

目次

【3日目】北アルプス屈指の難所「大キレット」に挑戦

3:00 起床。この日も長い一日となります。しっかり朝ごはんを食べて、4:30に出発。

涸沢岳に到着

涸沢岳に到着。ザイテングラートを照らす朝焼けがとても綺麗でした。

この日も朝から、崖、崖、崖です。昨日よりはマシだろうと高を括っていた自分が愚かだった。険しい道が続きます。

北穂高岳に到着

7:18 北穂高岳に到着。遠くに見えるのが槍ヶ岳です。天気が良いから写真は綺麗に撮れる。その代わりルートがすべて見えてしまう。気の遠くなる道のりです。

日本で一番高い場所にある山小屋「北穂高小屋」

北穂高小屋に到着。日本で一番高いところにある山小屋です。登りはじめてまだ3時間ほどですが、すでに空腹。ここで食べるカップヌードルがまた美味しかった。

個人的な食事理論

ごはんの美味しさは運動量に比例する。従って、僕にとって山中ないしは下山後に食べるごはんに勝るものはない。まさに「食の最高峰」である。以来、高いお金を払ってまで美味しいものを食べたいという欲求はほとんどなくなった。ごはんが美味しく感じるも不味く感じるも、結局は自分次第なのである。

山小屋のスタッフいわく、前日に滑落事故があったとのこと。決して他人事ではないので、気を引き締めて先に進みます。

崖の側面に取り付けられた足場。落ちたら終わり。慎重に進みます。

大キレットの核心部「飛騨泣き」

大キレットの核心部「飛騨泣き」です。杭が打ち込んでありますので、手足の順番をきちんと考えて登れば大丈夫。

飛騨泣きを越えると、もう一つの難所「長谷川ピーク」が現れます。昔、長谷川さんという方がここから滑落し、奇跡的に助かったことからそう呼ばれているそうです(諸説あり)

とりあえず、難所と呼ばれる部分は通過しました。まだまだ先は長いのでじっくり登ります。

南岳小屋に到着

12:00 南岳小屋に到着。ここまで8時間近く登り続けてきたのですでに空腹。小屋で味噌ラーメンをいただきました。最後の一滴まで飲み干し、エネルギーチャージ。

南岳、中岳、大喰岳を越える

南岳、中岳、大喰岳(おおばみだけ)を越えていきます。この三つのピーク越えが地味にキツかった。大喰岳を越えると槍ヶ岳が目の前に現れます。あと一息!

槍ヶ岳山荘に到着。そして事件は起きた。

15:50 槍ヶ岳山荘に到着しました。しかし、ここで事件発生。テント場がすでに満員とのこと。すると選択肢は2つ。小屋に泊まるか、さらに1時間歩いた先にある殺生ヒュッテのテント場まで行くかです。

マジか… って感じでしたね。もう歩く気力がないので、しばらく呆然としました。11時間ほど歩いてきましたからね。しかも、新穂高温泉に下山予定だったので、上高地に向かう道中にある殺生ヒュッテに行くとなると逆ルートになってしまうんです。ということは、明日また1時間以上、槍ヶ岳山荘まで登り返す必要があるということ。もう登山ではなく修行です。

ここで考えていても仕方ないので、山荘に荷物を置かせていただき、槍ヶ岳の山頂に向かいます。

槍ヶ岳に到着

16:58 槍ヶ岳に到着。表銀座縦走、裏銀座縦走、そして今回で3度目の槍ヶ岳です。

殺生ヒュッテに到着

18:30 殺生ヒュッテに到着。せっかくここまでテント泊を続けてきたので、小屋泊は避けました。槍ヶ岳山荘から1時間ほどかけて下りてきました。

結局、この日の行動時間は14時間。もう身も心もボロボロ。明日はいよいよ下山日です。

【4日目】いよいよ下山

4:00 下山開始。本来はもう登らなくていいはずなのに、新穂高温泉に下山する都合で槍ヶ岳山荘まで登り返します。

槍ヶ岳から見た朝焼けがとても印象的でした。今回の縦走は全日天候に恵まれていました。

飛騨沢カールです。ここからはひたすら下りが続きます。正面に見えるのが笠ヶ岳です。

唯一の失態がこれ。日焼け止めをきちんと塗っていましたがまったく効果なし。標高3,000m以上になると太陽との物理的距離が近くなるからでしょうか。アームカバーは必須だと感じました。

もちろん顔面もパンダのように日焼けしました。日焼けはまだ良いとして、紫外線の影響で目に軽い火傷?をしたのか痛くて開けることが辛かったです。サングラスはオークリー製なので問題ないと信じたいですが、何らかの対策を講じる必要がありそうです。

10:23 新穂高温泉に到着。

平湯行きのバスが来るまで「五平餅」にて温泉卵をいただきました。絶品です。足湯に入りながら食べるのが好きなのです。4日間頑張った足はパンパン。

平湯温泉まで来ました。さて、ここでの楽しみは2つあります。

「あんき屋」にて最高の飛騨牛をいただく

平湯に来た時には毎回リピートしてい「あんき屋」です。絶品の飛騨牛料理をいただくことができます。今回は朴葉味噌定食をいただきました。

もう美味しいのなんの。テント泊の食事は米などの炭水化物に偏るので、久々のお肉が感動レベル。広々とした空間でお座敷もあるので、登山者にとってはありがたいお店です。

テント泊の食事について

登山で最も重要な栄養素は炭水化物です。体を動かすエネルギー源だからです。しかし、何日も縦走する場合は、疲労回復の観点からたんぱく質やビタミン、ミネラルなどの他の栄養素もバランス良く補給する必要があります。

今回はmont-bellのアミノサミット3500ペプチエイドを携行しました。休憩中にアミノサミット3500、寝る前にペプチエイドを摂取するイメージです。マルチビタミンを追加してもいいでしょう。

4日ぶりのお風呂。平湯温泉「ひらゆの森」へ。

食事の後は、平湯温泉「ひらゆの森」で入浴させていただきました。源泉掛け流し、広々とした露天風呂で疲れた体を癒します。

長い旅も終わり

平湯からは高速バスで新宿まで帰ります。長い4日間が終わりました。今回の登山はまさに「試練」でした。まぁ、人生で一番疲れたましたね。反省点はいくつかあるものの、まずは生きて帰ることができてなによりです。

日本最難関と言われるルートの挑戦はこれで終わりです。ただ、自分の中での挑戦はまだまだ続きます。応援してくださった方々に改めてお礼申し上げます。ありがとうございました。

苦労した者だけに見える世界がそこにある。

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