【初心者向け】トレイルランニングに必要な装備をご紹介

今回はトレイルランニングに必要な装備についてご紹介します。

基本的な装備については、ネットで検索していただければすぐに見つかるかと思いますので、こちらでは実際に僕がいつも山に持って行くものをご紹介します。

登山の経験はあるけどトレランは未経験、ランニングをしているけどトレランにも興味があるという方など、ぜひトレランデビューのきっかけにしていただければと思います。

目次

登山はリスクを最小限に抑えるスポーツ

装備紹介に入る前に一つだけお伝えしておきたいことがあります。

登山は、標高や難易度に関わらず、最低限の装備はきちんと揃えましょう。自己責任、そして自己完結が求められるスポーツだからです。自分の命は自分で守らなければなりません。

もし山頂にたどり着き、無事に下山できたからといって、その登山が正しかったとは断言できません。たまたま天候に恵まれただけだったかもしれませんし、コンディションが良かっただけかもしれません。天候が良く、体力さえあればデニムとスニーカーでも山には一応登ることはできます。ただ、そうすると「なんだ軽装でも大丈夫じゃん」という発想に繋がり、もし何かあった際に遭難予備軍となってしまいます。

さらにトレイルランニングの場合は、ハイキングよりもスピードがあるので転倒のリスクが上がります。装備も一般的な登山よりも少ないので、より慎重になる必要があります。

何かあったら誰か助けてくれるのではなく、自分の命は自分で守らなければなりません。そのためにも最低限の装備は揃えるようにしましょう。それがトレイルランニング、そして山を楽しむことに繋がります。

基本の装備

トレイルランニング用シューズ

まずはトレイルランニング用のシューズ。

通常のランニングシューズでも山に登れることは登れます。ですが、それはサーキット用のタイヤで、荒れたオフロードを走るようなもの。山道には岩や石、木の根などがあるので、それらに足をぶつけると思わぬ怪我をしてしまいます。

そのため、トレイルランニング用のシューズは、アッパーやソールが丈夫に作られています。鋭い岩や木の出っ張りを踏んでも足をしっかり保護してくれます。

また、靴底には「ラグ」と呼ばれるスパイクのような突起が付いています。ラグが路面に食いつくことでスリップや転倒を防いでくれます。

また、トレイルランニング用のシューズは、ロード用のシューズと同じように初級者から上級者、あるいは短距離用から長距離用など目的別に作られています。軽いからといってレース用のモデルを選んでしまうと、初心者のうちは怪我につながったりもします。

ですので、ネットで購入するのではなく、実際に店舗に足を運び、店員さんと相談しながら購入するようにしてください。

バックパック

トレイルランニング用のバックパックです。

カラダにピタッと密着させて着るベストタイプのものと(画像)、通常のリュックのように背負うバックパックタイプのものがあります。僕はベストタイプのものを使っています。伸縮性があるので、荷物が少ない時には薄くなり、荷物が多い時には広がるようにできています。ですので、走っても大きく揺れることがありません。

容量は12リットルのものを使っています。これで練習からレースまですべてカバーしています。一般的な登山用のザックと異なり、登る山やスタイル(日帰りなのかテント泊なのか)に合わせて容量をコロコロ変える必要がないのが嬉しいところです。

胸元にソフトフラスク(水分を入れるボトル)や携行食が入るタイプがおすすめです。

水分補給や携行食を摂るたびにザックを下さなくて良いのでとてもラクです。ほとんどのザックはこのタイプかと思いますが、稀にそうでないものも見かけるので念のため。

シューズと同じで、自分の身につけるものですので、実際に店舗で試着してから購入してください。

レインウェア

上下のレインウェアは必携です。

予報が晴れでも山は天気は変わりやすいです。また下界で晴れていても、山では天気が崩れていることもあります。基本的には雨が降った時に着るものですが、休憩中の防寒着として着たり、春や秋、冬は走っている時も着ます。

すべての装備の中でレインウェアが最もお金がかかるかと思いますが、命に直接関わるものなので絶対にケチらないことです。

パッカブル(収納可能)モデルが便利。
こんなにコンパクトになる!

一般的な登山用のものだと嵩張るので、トレイルランニング用のコンパクトになるモデルがオススメです。

ウェア

ウェアは、速乾性に優れ、動きやすいものを選びます。綿素材のウェアは、汗で濡れると乾かないのでNGです。下界では暑くても、標高が上がるごとに気温も下がります(1000mごとに6度下がる)。汗で濡れた体に、寒さや風などの要素が加わると、真夏でも低体温症になるリスクがあります。

夏 → 半袖ドライレイヤー(ファイントラック)・半袖Tシャツ・アームカバー・短パン

春・秋・冬 → 半袖ドライレイヤー(ファイントラック)・半袖Tシャツ・アームウォーマー(ファイントラック)・短パン・ロングタイツ

基本的にはこの組み合わせです。寒い時や休憩中はレインウェアを羽織って対処しています。登山口に着くまでは、よほど暑い時を除き、いつもレインウェアを着ています。

ドライレイヤー

基本的にはTシャツでOKですが、僕はTシャツの下に、ファイントラックのドライレイヤーを着ています。

吸い上げた汗を、肌から離してくれる!

かいた汗をしっかり吸い上げてくれます。そして、吸い上げられた汗は逆戻りしないので、汗冷えやベタつきを抑えてくれます。夏はベーシックモデル、冬はウォームモデルとアームウォーマーを使っています。

【ドライレイヤー(ベーシック)】

【ドライレイヤー(ウォーム)】
【ドライレイヤー】アームウォーマー

インサレーション(保温着)

OMMのRotor Smock。化繊でできたダウン。
パッカブルなのでコンパクトになる

また、1月 ~ 2月など、朝がとんでもなく寒い時は、薄手のダウン(インサレーション)をレインウェアの上または下に着ていくこともあります。走行中は脱ぎますし、荷物になるので、できるだけコンパクトになるものやパッカブルのものがオススメです。

OMM Rotor Smock
https://theomm.jp/product/rotor-smock/

キャップ・ヘッドバンド

紫外線の気になる方はキャップを用意しましょう。僕はいつもヘッドバンドを使っています。昔はキャップやサンバイザーを使っていましたが、山の中はそんなに日光が当たらないので(山によります)、ヘッドバンドがラクだと感じています。汗止めになるし、髪の毛がなびくのも防いでくれます。どちらが良いかは、好みで選んでください。

僕が愛用しているのは、スイスのスポーツブランドCOMPRESSPORTのON/OFF。シンプルなデザインで、コーディネートしやすいので気に入っています。

COMPRESSPORT
https://www.compressportjp.com/

グローブ

木や岩を掴む時や、転倒した時の手の保護になります。冬はもちろん、夏でも標高が高い山では手は結構冷えます。

僕が使っているのがSalomonのFAST WING GLOVE。オープンフィンガーとミトンの2wayで使えるグローブです。

走行中はオープンフィンガー、寒い時はミトンの状態という感じで使い分けられるので便利です。(現在は販売されていないようなので、似たモデルを探してみてください)

カーフスリーブ

斜面を登るトレイルランニングではふくらはぎの筋肉が多く使われます。着圧式のカーフスリーブを履くことで、筋肉のブレを軽減し、疲労物質である乳酸の発生を抑制することができます。

またスネをぶつけた時の保護にもなりますし、虫刺されの予防(?)にもなる気がします。無くても困ることはありませんが、余裕があれば持っておくと便利です。

着圧式のロングソックスでも同じ効果が得られますが、僕は5本指ソックスを履くので、ソックスとカーフスリーブは分けて使っています。好みのソックスがある場合は分けて使うといいでしょう。

COMPRESSPORT
https://www.compressportjp.com/

ヘッドライト

ヘッドライトは必ず用意しましょう。出番は少ないですが、山での必携品の一つです。道に迷ったり、怪我をした場合、予定していた下山時刻よりも遅くなってしまうことがあります。

そんな時にもヘッドライトが一つあると安心です。軽くて、防水性のものがおすすめ。予備の電池も必ず持っていくようにしましょう。

地図(アプリ・紙)

道迷いや遭難を避けるためにも、地図は必ず持っていきましょう。

僕は、昭文社の「山と高原地図」を使っています。「アプリ」と「紙」のものがあります。できれば2つ用意します。走行中はアプリで確認し、電池が切れた時のバックアップとして紙をザックに入れています(汗や雨で濡れるのでジップロックに入れておきましょう)

紙だけじゃダメなの?となりますが、もちろん紙だけでもOKです。ただ、地図で大切なことは「気軽に見れること」だと考えています。ザックに入れたままだと、どうしても取り出すのが面倒になり、そのまま道に迷ってしまうというケースが起こりうるからです。

ベストタイプであれば胸元のポケット、バックパックタイプであればウエストベルトのポケットにスマホを入れておけば、気軽にチェックできるのでアプリはとても便利です。

さらに、アプリ版だと現在地や方角が表示されます(機内モードでもOK)。過信は禁物ですが、僕のこれまでの経験ではかなり正確に表示されています(Google Mapと同じくらいの精度)。

料金は1エリアにつき500円ほど。買い切りなのでその後、料金が発生することはありません。道迷いのリスクが大幅に軽減されることを考えると安い買い物です。

バックグラウンドで起動させたままにしていると電池の減りが早くなるので、使うたびにアプリは閉じています。電池の減りが心配な方は、小さめのモバイルバッテリーを持っていくといいでしょう。

【山と高原地図(アプリ版)】
App Store
Google Play

ファーストエイドキット

万が一に備えてファーストエイドキットは必ず持っていきましょう。まとめて売られているものもありますが、できれば自分用にカスタマイズしましょう。僕は見やすいように、ジップロックにまとめています。

個人差はありますが、トレイルランニングの場合、捻挫や転倒による出血が多いでしょう。捻挫の場合、走行不能になる可能性もあるので、テーピングが一本あると安心です。とにかく下山することが最優先なので、簡単な方法で良いので、足首の固定方法や止血方法だけは学んでおきましょう。

【僕の場合】
ウエットティッシュ(生分解性)、野糞用ティッシュ(略してノグッティ、これも生分解性)、テーピング、ポイズンリムーバー、細引き(紐)、ネット包帯、ガーゼ、絆創膏、消毒綿、ハサミ、トゲ抜き、下痢止め

エマージェンシーシート

緊急用のエマージェンシーシート。遭難時や怪我で動けなくなった場合の体温低下を防ぐものです。アルミでできており、羽織るようにして使います。軽量のもので構わないので、一つ持っておくと安心です。

食料・水分

山では想像以上にエネルギーを使います。充分な行動食と水分を持っていきましょう。

行動食は、糖質(炭水化物)を多く含むものが基本。ジェルや羊羹、クッキー、飴などが一般的です。ただ、ジェルだと手軽に栄養補給ができますが、高価なことと好き嫌いが分かれるのがデメリット。僕はレース以外ではあまり使わなくなりました。僕はいつもパンとチョコ、飴、スポーツ羊羹を携行しています。

小屋がある場合はそこで食事をいただくこともありますが、基本的には昼食は持っていきません。行動食で繋いでいます。その代わり、家で朝食をしっかり食べ、登山口でおにぎりを1つ食べてエネルギーを前借りしています。

水分は、1リットルほど携行しています。500mlのソフトフラスクを左右の胸元に入れ、左はスポーツドリンク、右は水というように分けています。夏場は足りなくなる可能性があるので、1.5リットルほど携行するか、足りない分を山小屋で購入しています。

走る距離やコース、季節、気温によって必要な水分量は変わりますので、はじめのうちは重くても少し多めに持っていくと安心です。

熊鈴・ラジオ

熊の目撃情報が多くなっていますので、熊対策はしておきましょう。熊は臆病な動物なので、こちらの存在を事前に知らせてあげることが、熊を寄せ付けない対策の一つです。

僕は熊鈴とラジオを携行しています。熊鈴はできるだけ小さいものがオススメ。熊に存在を知らせることが目的なので、熊鈴として売られているものでなくてもOKです。

ラジオを流せば、こちらの存在をアピールできますし、その日のニュースも聴けるので一石二鳥です。

通常のラジオだと電波が入らない可能性があるので、山でも聴ける「山ラジオ」を選びましょう。僕が使っているのはSONYの「ICF-R354M」ですが、すでに生産終了になっているので、SRF-R356が後継機のようです。

まとめ

今回は、トレイルランニングに必要な装備についてご紹介しました。

こちらでご紹介したものは「安全かつ快適にトレイルランニングを楽しむためのもの」です。あくまで一例なので、ご自身の好みやコンディショニングに応じてカスタマイズしていただければと思います。

はじめのうちは1 ~ 2時間程度の低山からはじめてみて、そこで足りなかったもの、あるいは使わなかったものを調整すると良いでしょう。ただし「使わなかったもの = 要らないもの」ではないので、そこだけはお気を付けください。

一緒にトレイルランニングを楽しんでいきましょう!

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