【大会参加レポ】ホノルルマラソン2019。2度目の参加でも最高に感動的だった話。

「ランニングのなにが楽しいのか分からない。」

そんな考えを覆すようなイベントがある。

ホノルルマラソンだ。

昨年に引き続き今年も参加してきた。この大会はいつ参加しても計り知れない感動と勇気を与えてくれる。

目次

ホノルルマラソンってどんな大会なの?

ホノルルマラソンは、毎年12月にハワイのワイキキを舞台におこなわれるマラソン大会である。制限時間がないのでマラソン未経験者でも楽しむことができる。参加者の年齢層も幅広く、高齢の方から小さな子まで参加している。なお、海外レースの中では日本人参加者の数が最も多い大会である。

3泊5日の旅程

今回は3泊5日の旅程で大会に臨んだ。1日目に前日受付、2日目がレース、3日目に観光、4日目に帰国という形だ。旅程の組み方は人それぞれだが、レースの数日前に到着している選手が多い印象だ。時差ボケを治してからレースに挑むためや、レース翌日は脚が痛くなるから前もって観光を楽しむためだったりするのだと思う。

私はレースの前日に到着するようにしている。昨年参加してレース後は脚が大丈夫だったし、それにレース前に観光を楽しんでしまうと緊張感がなくなってしまいそうだからだ。食事にも気をつけなければならないし、どうせレース前日は興奮で眠れないことも分かっていたので、時差ボケは割り切って、ある程度日本で調整を済ませていくことにした。

羽田空港から出発

行きは羽田空港からの出国。22時15分のフライトで、ホノルルまで約7時間の旅である。飛行機やバスでは絶対に眠れない体質なのが困ったものだ。松本人志のすべらない話に夢中になっていたら、気付いたら到着していた。

スーツケースを持たない理由

余談っぽくなるが、私はスーツケースは持たない主義である。これは高城剛氏の考えを参考にさせていただいている。出国の際に預け入れの列に並びたくないし、到着空港でもベルトコンベアを眺めながらまだかまだかと待つのが苦手だからだ。

それに今回は乗り換えがないから平気だったが、国際線は荷物が遅れて着くということもザラにある。以前、イビサ島に行った時、ロンドン経由で帰国したのだが、荷物が届いていないということがあった。帰国時だったから良かったものの、これが行きの話だったら冷や汗ものだ。もちろんこの時も手荷物の予定だったのだが、容量オーバーで預け入れ扱いになってしまったのだ。

航空会社によって規定サイズが異なるので、それ以来、できるだけ小さなバックパックに切り替えた。それが写真のドイター製のバックパック。ロードバイク用の30リットルのものだ。レース前後のケアに使うフォームローラーも外側に装着しておいた。レースに参加するのがモロ分かりである。

ホノルル空港に到着

10時15分、ホノルル空港に到着。毎度のことながら税関は長蛇の列で、空港から出るまでに1時間ほどかかった。ただ、スーツケースが無いのでその後はサクサク進んだ。

あまりに眠れなくてレース前のテンションとは思えない表情。なんなら税関で別室に呼ばれそうな勢いである。

さて、前日受付のためコンベンションセンターに向かう。ロバーツなどのシャトルバスを依頼するのが一般的であるが、私はいつもTHE BUS(市営バス)を利用している。理由は多々あるが、まずは格安なこと。シャトルバスが16ドルほどかかるのに対して、THE BUSなら2.75ドル。破格だ。

あとはリアルなハワイを楽しめるから。シャトルバスだとすっ飛ばしてしまうような場所も、停留所ごとに停まりながらハワイの景色をゆっくり楽しめる。地元民も利用するため、乗車客の9割は外国人だ。

バスを待っている時に、佐賀から来たという男性と仲良くなった。今回が初ホノルルマラソン参加で、初ハワイとのこと。バスの中で会話を楽しみながらコンベンションセンターまでご一緒させていただいた。

コンベンションセンターにて前日受付

バスに揺られること約40分、アラモアナショッピングセンター前に到着。ここからコンベンションセンターまで歩いて5分ほどである。

コンベンションセンターに到着。大勢の参加者で賑わっている。物販やイベントも行われているので、受付を済ませた後にゆっくり見て回った。

レース用のジェルもここで買うことができる。飲み慣れたものを日本から持っていくのもありだが、色々な種類のジェルを試してみるのも面白い。私は日本から持っていく派であるが、美味しそうなジェルがあったので2つほど追加で購入した。

ホテルに到着

受付が終わればあとは自由だ。歩いてホテルに向かう。私はいつもワイキキ中心部のハイアットリージェンシーの近くにある格安ホテルに泊まっている。宿にはお金をかけない主義なので、表現は悪いが刑務所のようなホテルに泊まっている(笑) シャワーはもちろん蛇口だ。お湯さえ出れば文句はない。

ホテルに着いたのは13時過ぎ。飛行機の中で寝れなかったこともあり、ベッドで横になっていたら夜になっていた。

よく聞かれる質問が「スタート地点(アラモアナショッピングセンター前)に近い宿を選ぶべきなのか?」である。確かにスタート地点の近くに泊まれば当日の移動はラクだが、ワイキキの中心までは少し離れてしまう。逆にワイキキの中心に泊まると、スタート地点から離れてしまう。難しい選択だと思う。

レースに力を入れたいという人は会場の近くに泊まり、観光を楽しみたいという人はワイキキの中心に泊まるといい。

ただ、ゴール地点がカピオラニ公園(アラモアナショッピングセンターとは真逆)というのがまた迷うところだ。スタート地点からは離れてしまうが、ワイキキ中心部に泊まっていれば、レース後にすぐホテルに帰れるという嬉しさがある。

トロリーバスを使えばどこにでも行けるから、結局は好きなところに泊まるのが一番なのかなと。なお、JCBカードを持っていればトロリーバスを無料で利用できる。

コースマップ

コースは毎年同じで、ワイキキの沿岸部を走るルートになっている。ダウンタウンやワイキキ市街地、ダイヤモンドヘッド、カハラ、ハワイカイなどワイキキのメインスポットを巡る欲張りコースだ。

レース当日

午前3時に起床。レースは早朝5時にスタートだ。たくさん寝たのでこれ以上ないほどに目が冴えていた。朝ごはんは、前日に買っておいたスパムにぎりとバナナ。どちらもABCストアで買うことができる。あとは年間最低500本は飲んでいるであろうMONSTER ENERGYも注入。日本未発売のMULEという味が気になったので買ってみた。ジンジャーのパンチが強烈だった。

レース装備

レースの装備はこんな感じ。気温は日中で28度前後まで上がるのでかなり暑くなる。朝方もそんなに冷えないので防寒着はまず要らない。

唯一失敗したのがヘッドバンドで挑んだこと。汗止めにはなるが、頭部が太陽に晒されるので暑さの影響を受けやすい。トレイルランニングのような山の中を走るレースでは長時間直射日光に晒されることもないし、頭も蒸れなくて快適だが、マラソンのように直射日光が当たりっぱなしのレースではキャップのほうが向いていると感じた。

打ち上げ花火とともにレーススタート

スタート地点のアラモアナショッピングセンターの前に選手は集合する。早朝5時、盛大な花火の打ち上げとともにレーススタート。ゲートを通過するまで記録は開始されないので、みんな歩きながら会話をしたり、花火の写真を撮ったりしながら楽しむ。ゲートを通過するといよいよレーススタートだ。

ワイキキ中心部の温かい声援

まずはダウンタウンのイルミネーションを楽しみながら、再びアラモアナショッピングセンター前まで戻ってくる。ここまでで5kmくらい。

その後、ワイキキのメインストリートであるカラカウア通りを抜ける。早朝にも関わらず沿道で多くの方が声援を送ってくれる。

カラカウア通りを抜けると、いよいよダイアモンドヘッドの麓にあるカピオラニ公園にたどり着く。ここまででだいたい10km。脚も温まってくる頃だ。ちなみに、このカピオラニ公園が42kmのゴール地点でもある。

ダイアモンドヘッドを駆け上がる

いよいよお待ちかねのダイアモンドヘッドの登り。1kmほどあり、勾配もそこそこあるので、ここで脚を使い切らないように慎重に登っていく。コースロープを持っているスタッフたちがハイタッチをしながら大きな声援を送ってくれる。

また、この辺りから徐々に空が明るくなってくる。日の出は間もなくだ。

18thアベニューで朝焼けを拝む

ダイヤモンドヘッドの坂を下ると、18thアベニューに差し掛かる。ここから眺める朝焼けが本当に美しい。走って通過してしまうのがもったいなく感じるくらいだ。

ハワイカイまでの長い長いハイウェイ

カハラモールの角を曲がるといよいよハイウェイに差し掛かる。ここがホノルルマラソンで最もキツいパートではないだろうか。オアフ島東部の高級住宅街ハワイカイを往復するルートで、ここだけでも18kmある。

景色にあまり変化がなく、太陽の位置も高くなるので直射日光も厳しくなる。そして、マラソンでよく言われる「30kmの壁」もここで訪れる。30km前後で体内に蓄えられたエネルギーが枯渇し、急激に体が重くなるという現象だ。体力と精神力の両方が問われる。

そして、今大会の特別ゲストである渡部建さんと平祐奈さんを発見。今回が初のフルマラソンだというお二方の頑張る姿を見て、ツラさが軽減された。渡部建さんは下半身の筋肉もそうだが、上半身の筋肉がしっかりしている印象を受けた。グルメのお仕事をしながらも綺麗な体型を維持できるのは、陰で並並ならぬ努力を積んでいることが伺える。

ハワイカイで折り返す

長い長いハイウェイもいよいよ折り返し地点。かなり気温も高くなり、この辺りから歩き始める選手も多くなる。

最後の関門が待ち受ける

ハイウェイを走り終えると再びカハラに戻ってくる。36km地点だ。ここまで来たらゴールまでもう少し…と言いたいところだが、最後の関門が待ち受けている。

ダイヤモンドの2回目の登りだ。往路では問題なかった登りも復路ではまるで地獄。エクストリームハードモードだ。最後の体力を振り絞る。

 

感動のフィニッシュ

ダイヤモンドヘッドを登り切って坂を下ると、いよいよゴール地点のカピオラニ公園にたどり着く。最後のホームストレートの先にゴールのゲートが見える。このストレートが地味に長い(笑)

沿道の声援に支えられながら、残る力を振り絞って感動のゴール。やっと終わった!という嬉しい気持ちと、終わっちゃった!という寂しい気持ちが交差する。

ラン嫌いでも一度は参加してほしい

ホノルルマラソンというと、どんなイメージを持つだろうか。

「海外レースだからレベルが高い」「参加してみたいけどゴールできる自信がない」「憧れるけどランは苦手」など様々だと思う。

この大会では、もちろん自己ベストを狙って走るランナーもいるが、おそらく半数以上はそうではない。友達同士で会話を楽しみながなら走る人、子供を連れて家族で走る人、ベビーカーに赤ちゃんを乗せて挑戦する人、ウェディングドレスを着て走る人、愛犬と一緒に走る人、車椅子で完走を目指す人など「自分のスタイル」で走る人が多いのである。

その光景には強い驚きと感動を覚える。

ランナーの中には、ついタイムやペースを気にしてしまったり、他人と比べてしまったりする人がいる。しかし、この大会は「自分の好きな形で走ればいいんだよ」ということを教えてくれる。どんなに遅くても誰も笑ったりせず、ゴールするまで応援してくれる。このレースがキッカケで、走ることの楽しさに気付く人も多いのではないだろうか。私はその一人である。

正直、この大会に参加するまでの自主練習は地味な部分が多いと思う。寒い中一人で走ったり、同じ景色に飽きてしまったり、意味不明な脚の痛みに襲われたり。

しかし、レース本番はまるで別世界だ。ハワイの景色を眺めながら、最高の仲間たちと一緒に走ることができる。これが最高に楽しい。それまでの苦しみも痛みも全てを肯定できるのだ。これは走った人にしか絶対に分からない感覚だと思う。

だから「ランニングは苦手。むしろ嫌い。」という人ほど参加してみてほしい。ランニングに対するコンプレックスだけでなく、人生を変えるキッカケの一つはここにあると私は感じる。

最後に、このレースを完走するまでに応援してくださった方々に心から感謝します。

だいたい多くの人が「良いことないかな」「どこかに幸せ転がっていないかな」って考える。このレースを通じて、自分の幸せは自分で見つけるものだし、作るものだし、感じるものだと改めて思った。レースはいつも大切なことを教えてくれる偉大な教師である。

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