富士山に0合目から日帰りで登ったら、想像以上に修羅場だった話。

『富士山を少しでもツラく登りたい症候群』が発症したので、今年も登ってきました。

今回で3回目となる富士登山。1回目は一般的な5合目から、2回目はややマニアックな0.5合目(馬返し)から登りました。

そして、今回はついに0合目から登ってきました。(いずれも吉田ルートです)

↓(以前の記事)

目次

0合目からのルート

0合目は国道413号線沿いにある「北口本宮冨士浅間神社」だとされています。富士急ハイランドと山中湖の中間くらいにあります。今回はここからスタートして、山頂まで一気に登ります。そして、お鉢巡りをしてその日のうちに下山する計画です。

装備

装備はこんな感じ。水を含めて2kgくらいです。あまりに軽いので、山舐めてるだろ!という声が飛んできそうですが、自分なりにカスタマイズした結果です。カロリーと水分の計算、自分の体質に合った防寒対策をしています。

「なんで日帰りなの? 泊まらないの?」と聞かれますが、大勢の人と同じ空間を共にするのが苦手なことと、混雑を避けたいからです。ちなみに富士山はテント泊が禁止されています。

いざ出発!

出発地点の北口本宮冨士浅間神社です。近くのコンビニの店員さんに「これから富士山ですか?そこに5合目までのバスの時刻表がありますからね」と教えていただきましたが、まさか0合目から走って登るとは言えず。

神社のそばにある駐車場をお借りしました。自宅を出発する前に米を大量に食べてきましたが、ランチパックをもぐもぐしてエネルギーチャージ。

なんだかんだで深夜2時過ぎに出発。本当は少し寝てから5時くらいに出発しようかと思いましたが、興奮のあまり寝れず、早めに出ることにしました。(後述しますが、この選択が正解でした)

まずは神社でご挨拶。それから0.5合目の馬返しへと向かいます。神社から馬返しまでは10kmほどの道のりです。

神社をすぎると雰囲気が一変。舗装された道を進みますが、樹海のような森の中を抜けていくことになります。

これがめちゃくちゃ怖い。真っ暗。街灯はないので、まわりの景色どころか自分の足元すら見えません。ヘッドライトは必須です。さっきまでは「よっしゃ!登るぜ!」なんて奮い立っていましたが、出鼻を挫かれます(笑)

今回の富士登山でなにが修羅場だったかというと、体力的な面もありますが、この暗闇の森を抜けなければならなかったことです。

文化祭のお化け屋敷すらまともに入れないので、ちょっとした物音にいちいち腰を抜かしそうになります(笑)なので、音楽を聴きながら進むことにしました。

馬返しまでは10kmくらいなので、1時間ほどで着く計算でしたが、緩い傾斜がずっと続くせいでペースがやや遅くなりました。以前は、車で一気に駆け抜けてしまったので傾斜に気付きませんでした。

ただ、早くこの恐怖から抜け出したかったのであまり疲れは感じませんでした。

5km地点の「中の茶屋」に到着。2 ~ 3人の男性に会いましたが、日の出まで待つようでした。中の茶屋をすぎるとさらに傾斜がキツくなります。

… と言っても、暗過ぎて何も伝わらないという。割と明るめのヘッドライトを使っていますが、せいぜいこのくらいしか見えません。

出発してから1時間ほどで「馬返し(0.5合目)」に到着しました。なんか、もう雰囲気がヤバいんですよね。

トイレがあるのでお借りました。めちゃくちゃ恐怖でしたが。

ここから本格的な登山道に入ります…

が、早速事件発生。

僕の勘違いだと願いますが、鳥居の前でペコっと挨拶をした時に、右のワキに人の手のようなものが見えて

うぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーー!!!!!

なんて大絶叫してしまいました。

めっちゃジャンプしたんじゃないですかね。全身に鳥肌が立ち、血の気が一気に引きました。もちろん、後ろを振り返っても誰もいません。前を向いたら誰かいるんじゃないか… というホラー映画のお決まりもなく、結局誰もいませんでした。

そして、腰を抜かしながら進むこと数分….

ギャーーーーーーー!!!

なんて獣の声が前の方から聞こえて来ました。完全にフリーズ。もう帰ろうかと(笑)威嚇してるんでしょうか? でも、一本道なので前に進むしかありません。真っ暗でなにも見えないのがまた恐怖です。

手をパチパチ叩いたり、足をドスドス鳴らしたり、シャーーー!シャーーー!と意味不明な声を発したりして(ヘビの真似)、必死に追いやろうとします。(冷静に考えたら、逆に危険なのでやめたほうがいいですね) 鳴き声が少し遠くなったところで一気に駆け抜けました。

馬返しを通過してからは、1合目、2合目… というように、小屋をチェックポイントにしながら進みます。小屋といっても、現在は使われていないので、立ち入りが禁止されています。歴史的な建物ですが、夜だと恐怖しか感じないのが皮肉です。(なぜか写真は撮る)

朝の四時半です。少しずつ空が明るくなってきました。

5合目の佐藤小屋で休憩をしていると、ご来光を見ることができました。

太陽のありがたさです。さっきまでの「ウォォォーーーー!」とか「シャーーーーー!」はなんだったのか。

5合目付近から、バスで来た登山客と合流する形になります。

ここからは走って登ることは難しいので、高山病にならないようにスローペースで進みます。

ベンチで休憩していたカップルに「お兄さんどこから来たんですか?」と聞かれました。トレイルランニングの装備なので珍しく見えたんでしょうか。

「0合目からです」と答えたら「は!?」「え?」と驚かれ、たくさん質問をいただきました(笑)「同じ人間だと思えない」なんて変態扱いされ、山ではこういうのが嬉しかったりします。

5合目からは小屋がたくさんありますので、給水やお手洗いに困ることはありません。ソフトフラスクのような容器だと、気圧の変化でパンパンになります。特に問題はありませんが、コーラを入れると、飲もうとする瞬間に吹き出すのでコツが必要だということを学びました。

富士山の吉田口山頂に到着しました。

令和元年の御朱印をいただきました。この御朱印帳が地味に重い(笑)

さらに歩くこと20分、最高峰の剣ヶ峰に到着。日本で一番高い場所です。

今回で三度目の登頂ですが、いつ登っても最高の瞬間です。

日本に留学に来ているというシンガポール人の男性と仲良くなりました。同じくらいの年齢だと思います。今回が初めての富士登山だそうです。お互いの登頂を祝福し、山頂で写真を撮った後、一緒にお鉢巡りをしました。

「一人?」と聞いたら「うん、友達誘ったんだけど、誰も来なかったんだよ」と言っていました。

留学中に日本最高峰の山に登るなんて、最高の思い出になるんじゃないでしょうか。どの山でもそうですが、山頂での出会いって一生忘れることがないと思っています。富士山に登ったら0合目から登ってきた変態がいたという土産話にしていただけると嬉しいです。

空ってこんなに蒼かったんだ、といつも思います。

「富士山は登るより、眺めていたい」という声もありますが、そういう人も一度は登ってみてほしいです。登らないとわからないことがあるからです。登った後の富士山って、また違う富士山に見えるんですよね。

山頂で味噌ラーメンをいただき、満腹になったところで下山開始です。

下山は気持ちよく走れます。標高が下がるにつれて呼吸もラクになってきます。ただ、登山客の迷惑にならないよう、追い抜く時は必ず歩くようにし(プレッシャーを与えてしまうため)、「すいません!」と声をかけるようにしています。

山頂から5合目までは、通常だと3時間ほどかかりますが、40分という最短記録で下りることができました。

本来であれば、ここで缶ビールでも買ってバスで帰れるものの、自家用車なのでまた0合目まで戻らなければなりません。また、あの道を通るのか…と

ただ、ご覧ください。この美しい緑を(笑) 早朝の恐怖はなんだったのか。自然っていうのは本当に面白いものです。同じ道でも、絶叫ではなく、帰りは気持ちよく走れました。

午後2時、北口本宮冨士浅間神社に帰ってきました。こちらでも御朱印をいただきました。

そして、駐車場に戻った瞬間、大豪雨が。出発時間を早めて正解でした。

こちらが走行データです。距離45.8km、行動時間11時間50分、消費カロリー約4,199kcal、累積標高約2837m。

富士山は標高が高いので呼吸は苦しくなりますが、その分涼しいので、猛暑日でも比較的過ごしやすかったです。

まだ時間も早かったので、ふじやま温泉で汗を流した後、ほうとうの名店「小作」でほうとうをいただきました。

ちょうど温泉から富士山が大きく見えたので「さっきまであの山頂にいたのか。人間ってすごいなぁ。」と改めて感じました。次は、どんな形で富士山に登ろうか考えています。

目次