暖かくなり、最近再びワラーチでランニングするようになりました。
そこで改めて思うのが、いつ履いてもラクに走れるということ。冬の間にベアフット系のシューズをいくつか試しましたが、やはりワラーチが一番走りやすいのです。本能のままに走りたいので、あまり小難しいことは考えたくないのですが、改めてどうしてこんなに走りやすいのか?と思いました。
自分なりに発見していることがいくつかありますが、その一つが「スピードが抑えられるから(速く走れない)」だと思います。
クッション性も反発力もほぼない極めて原始的かつアナログ的な履き物ですが、それが理由となりスピードが自然に抑えられます。スピードを出そうと思っても反発性がないための、シューズを履いて本気で走った時のスピードには敵いません。
しかし、それがいい。というのもスピードが抑えられるほど、心拍数は安定するから。あくまで僕自身の癖でもあるのですが、走り始めや調子がいい時ほどスピードを出してしまう傾向があります。案外、ゆっくり走るのって難しいです。しかも、身体が強くなるにつれ速く走れるようになるため、さらに難しくなってくる。
ランニング初心者の人に指導する時も「ゆっくり走りましょう」と伝えていますが、結構、みんな速く走ってしまいがちです。経験者からすれば決して速いスピードでないとしても、本人の中ではスピードが出ています(主観的な速度)。そこで、いわゆる「ニコニコペース」で走ってみると、ランニング未経験の人でも5 ~ 7kmくらいはラクに走れます。
なので、スピードを抑えてゆっくり走ることは、結果的にラクに走れることに繋がります。ただ、高性能なシューズの弊害?と言いますか、心肺機能や足がまだ育っていなくても、「ある程度は速く走れてしまう」のが問題になっていると感じています。速く走れるということは、心拍数の管理や身体のコントロールが難しくなるということ。すると息苦しさや怪我にも繋がってしまう。
例えるなら、車と同じです。老若男女問わず、いい車に乗り、アクセルを踏みさえすれば、スピードはいくらでも出せてしまう。つい気持ちよくなってスピードを出し、その結果として事故も起こる。でも人間の体で考えると、本来はそんなにスピードが出せないわけですよね。自分の生の足であればスピードが出せないものの、車やシューズではそれができてしまう。さらに”スピード抑制装置”のようなものは付いていません。速く走ろうと思えば、”ある程度は”速く走れてしまうものです。スピードと現在の身体能力との間に「ラグ(差)が生まれてしまう」のです。
電動自転車も似たようなものでしょうか。徒歩と比べると普通の自転車でもそこそこのスピードが出ますが、それに「加速装置」がついたことにより、どんなに脚力のない人でもスピードが出せてしまうわけです。これが、普段からスポーツバイクに乗り慣れている人であれば良いのでしょうが、そうでない人でもスピードが出せてしまうわけです(坂道がラクに登れるのはありがたいとして)。
ダラダラと書いてきましたが、シューズや車、電動自転車を批判しているのではなく、あくまでこれは「なぜワラーチだとラクに走れるのか」という自分なりの発見です。ワラーチだとスピードが出ないのではなく、言い換えるなら「これが本来の自分の能力」だということでしょう。スピードを求めるような用途には向かないかも知れませんが、ラクに走ることを求めたり、自分の身体に向き合い、自分の身体を開発していくことに興味のある人には面白いかもしれません。
何事も実験、そして発見。