「ランニングのなにが楽しいのか分からない。」
そんな考えを覆すようなイベントがあります。ホノルルマラソンです。昨年に引き続き、今年も参加してきました。この大会はいつ参加しても計り知れない感動と勇気を与えてくれます。
ホノルルマラソンってどんな大会?
ホノルルマラソンは、毎年12月にハワイのワイキキで開催されるマラソン大会です。海外のレースなので敷居が高く感じられますが、参加枠が多いことや、制限時間がないので初心者でも楽しむことができます。年齢層も幅広く、高齢者から小さなお子様まで参加しています。海外レースの中は、日本人参加者の数がもっとも多い大会となっています。
3泊5日のスケジュール
今回は3泊5日で行ってきました。1日目に前日受付、2日目がレース、3日目に観光、4日目に帰国という感じです。
時差ボケが落ち着いてからレースに挑むために、数日前に到着している方が多い印象です。レースの翌日は筋肉痛にもなりますので、先に観光を済ませてしまうという戦略もアリですね。
僕は大会の前日に到着するようにしています。先に観光を楽しんでしまうと緊張感がなくなってしまいそうだからです。食事にも気をつけなければならないので、大会が終わってから楽しむように計画しました。
羽田空港から出発
羽田からの出国です。22時15分のフライトで、ホノルルまで約7時間の旅です。飛行機やバスでは眠れない体質なので、松本人志のすべらない話を見ていました。あまりに面白く、気付いたら到着していました。
スーツケースを持たない理由
余談ですが、短期間の海外旅行ではスーツケースを持たないようにしています。これは高城剛さんの考え方を参考にしています。そのほうが出入国の際に列に並んだり、スーツケースを受け取るのに待つ必要がないからです。
以前、スペインのイビサ島に行った時、到着先に荷物が届いていないというハプニングがありました。幸い、帰国時だったので良かったものの、逆でしたらスケジュールが乱れてしまいます。それ以来、1週間程度の海外旅行であれば、写真のようなザック(30リットル)にしています。
ホノルル空港に到着
10時15分、ホノルル空港に到着。毎度のことながら税関は長蛇の列。空港から出るのに1時間ほどかかりました。
前日受付のためコンベンションセンターに向かいます。シャトルバス(ロバーツ)を依頼するのが一般的ですが、僕はいつもTHE BUS(市営バス)を利用しています。いくつか理由があり、まずは安いこと。シャトルバスが16ドルほどなのに対し、THE BUSなら2.75ドルです。
あとはリアルなハワイを楽しめるから。シャトルバスだとあっという間についてしまいますが、市営バスだと停留所ごとに停まりますので、生のハワイを楽しむことができます。地元民の会話を聞きながら揺られるのが楽しいです。
バスを待っている時に、佐賀から来たという男性と仲良くなりました。今回が初参加ということでコンベンションセンターまでご一緒させていただきました。
コンベンションセンターにて前日受付
バスに揺られること40分。アラモアナショッピングセンター前に到着しました。ここからコンベンションセンターまでは徒歩5分ほどです。
コンベンションセンター内は参加者で賑わっています。物販やイベントも行われています。
レース用のジェルもここで買うことができます。日本では見かけないものもあるので、色んなものを試してみるのも面白いですね。
ホテルに到着
受付が終わって、ワイキキビーチの近くにあるホテルまで歩いて向かいました。到着したのが13時過ぎ。飛行機の中で寝れなかったこともあり、ベッドで横になっていたら夜になっていました。
いつも悩むのが「スタート地点(アラモアナショッピングセンター前)に近い宿を選ぶべきなのか?」です。スタート地点の近くに泊まれば当日はラクですが、ワイキキの中心までは少し離れてしまいます。逆に、ワイキキの中心に泊まるとスタート地点から離れてしまうので、レース前に少し足を使ってしまうことになります。
レースに力を入れたいという人は会場の近くに泊まり、観光を楽しみたいという人はワイキキの中心に泊まると良いかと思います。ただ、ゴール地点がカピオラニ公園(アラモアナショッピングセンターからだいぶ離れている)というのがまた迷うところです。スタート地点からは離れてしまいますが、ワイキキ中心部に泊まっていれば、レース後にすぐホテルに戻れるという利点があります。
なので、間をとってワイキキの中心部に泊まるのが無難かと思います。なおJCBカードを持っているとトロリーバスを無料で利用できますので、そのあたりも視野に入れると良いかと思います。
レース当日
午前3時に起床。レースは5時スタート。たくさん寝たのでこれ以上ないほどに目が冴えていました。朝ごはんは、前日に買っておいたスパムにぎりとバナナ。どちらもABCストアで入手可能。あとは年間500本は飲んでいるであろうMONSTER ENERGY。日本未発売のMULEという味が気になったので買ってみました。ジンジャー味が強烈でした。
レース装備
レースの装備はこんな感じ。気温は28度くらいまで上がる予報でした。朝方もそこまで冷えないので、防寒着は持たないようにしています。唯一失敗したのがヘッドバンドです。汗止めにはなるのですが、頭部が太陽に晒されるので暑さの影響を受けやすい。トレイルランニングのような山の中を走るレースでは、直射日光に晒される時間も少ないので快適ですが、マラソンはキャップのほうが向いていると感じました。
打ち上げ花火とともにレーススタート
早朝5時、盛大な花火とともにレーススタート。ゲートを通過するまで記録は開始されないので会話を楽しんだり、写真を撮ったりしながらゆっくり走ります。
ワイキキ中心部の温かい声援
まずはダウンタウンのイルミネーションを楽しみ、再びアラモアナショッピングセンターまで戻ってくる。ここまでで5kmくらい。その後、ワイキキのメインストリートのカラカウア通りを走ります。早朝にも関わらず沿道で多くの方が声援を送ってくれる。
カラカウア通りを抜けると、いよいよダイアモンドヘッドの麓にあるカピオラニ公園にたどり着く。ここまでで10kmくらい。脚も温まってくる頃です。ちなみにこのカピオラニ公園が42kmのゴール地点にもなります。
ダイアモンドヘッドを駆け上がる
お待ちかねのダイアモンドヘッドの登り。1kmほどですが、勾配がそこそこあるので、脚を消耗しないように慎重に登ります。沿道のスタッフさんがハイタッチをしながら声援を送ってくれました。
18thアベニューで朝日を眺める
ダイヤモンドヘッドを通過すると18thアベニューに差し掛かる。ここから眺める朝日が本当に美しい。思わず脚を止めて写真を撮りたくなります。
ハワイカイまでの長い闘い
カハラモールの角を曲がるといよいよハイウェイ(高速道路)に差し掛かる。ここがホノルルマラソンで最もキツいパートかと思います。オアフ島東部の高級住宅街ハワイカイを往復するルートで、18kmほどあります。
景色にあまり変化がないことや、太陽も登ってくるので気温が高くなります。そして、俗に言う「30kmの壁」もここで訪れます。30kmほどで体内のエネルギーが枯渇し、急に失速する現象のことです。気持ちで乗り切ります。
今大会の特別ゲストである渡部建さんと平祐奈さんを発見。今回が初のフルマラソンというお二方の頑張る姿に刺激を受けます。
長いハイウェイもいよいよ折り返し。気温も高くなり、この辺りから歩き始める選手も多くなります。
最後の関門が待ち受ける
ハイウェイを走り終えてカハラまで戻ってきました。36km地点です。ここまで来たらゴールまであと少し、、、と言いたいところですが、最後の難所が待ち受けています。
ダイヤモンドの2回目の登りです。1回目こそ問題なかったものの、終盤はなかなかの地獄。最後の体力を振り絞ります。
感動のフィニッシュ
ダイヤモンドヘッドを通過すると、いよいよゴール地点のカピオラニ公園にたどり着きます。
最後のホームストレートの正面に見えるゴールゲート。沿道の声援に支えられながら、力を振り絞って感動のゴール。「やっと終わった!」という嬉しい気持ちと「終わってしまった」という寂しい気持ちが交差します。
ランニングが嫌いだからこそ参加してほしい
ホノルルマラソンに対するイメージは人それぞれです。「レベルが高そう」「ゴールできる自信がない」「一度は走ってみたい」など様々だと思います。
この大会の素晴らしいところは「自分のスタイル」で走る人が多いことだと思います。自己ベストを狙う人、友達同士で会話を楽しみながなら走る人、ファミリーで走る人、ベビーカーに赤ちゃんを乗せて走る人、ウェディングドレスを着て走る人、愛犬と一緒に走る人、車椅子で完走を目指す人など、実に様々です。
そこから学べることは「自分の好きな形で走ればいい」ということです。どんなにタイムが遅くても、それを笑ったりする人がいないこと。チャレンジしたことに敬意を払い、ゴールの瞬間まで応援してくれること。ランニングが嫌いだった僕にも「走るのってこんなに楽しかったんだ!」という気付きを与えてくれました。
ランニングの練習は確かに楽しいことばかりではありませんね。特に苦手意識がある方にとっては。地味な部分が多いかと思います。しかし、レース本番はまるで別世界です。ハワイの景色を眺めながら、最高の仲間たちと共に走ることができる。これが最高に楽しい。それまでの苦しみも痛みもすべてを肯定できるのです。これは走った人にしか絶対に分からない感覚だと思います。
だから「ランニングは苦手」「走るのはちょっと、、、」という人にこそ参加してほしい。ランニングに対する苦手意識が吹っ飛ぶどころか、人生を変えるキッカケになると僕は思います。
いつかこの記事を見て、ホノルルマラソン走ってきました!という方と出会えるのを楽しみにしています。
多くの人は「どこかに幸せ転がってないかな」と考える。このレースを通じて自分の幸せは自分で見つけるもの、つくるもの、気付くもの、であると改めて感じた。レースはいつも大切なことを教えてくれる偉大な教師である。