【FMSセミナー参加レポート】私たちはそもそも「筋トレをしていい段階にあるのか」という話。

3日間のFMSセミナーに参加してきました。昨年に引き続き、2度目の参加です。

一度目の受講後に資格試験には合格しましたが、あまりに奥が深いので、再び参加させていただいたという経緯です。運動指導者には必須レベルの知識だと感じています。ちなみに、こんなにも有益なのに再受講料が無料なのがありがたいです。

NSCA-CPT(パーソナルトレーナーの国際ライセンス)をはじめ、トレーナーの資格はいくつか持っていますが、その中でも一番大切だと感じているのがこのFMSです。

FMSは、日常生活や運動において、障害リスクとなる可能性となる動きを判別するシステムだからです。簡単に言うと、「今のままだと将来やばいよ、体痛めるよ」ということを教えてくれるテストです。

先日もこんなニュースが話題になりました。

パーソナルトレーニングの現場で怪我をする人が続出しているというニュースです。

今回のセミナーでも話題になりました。健康な体をつくるための場であってはならないことです。実際の指導現場を見ていないのでなんとも言えませんが、SNSなどでも「ちょっとマズいのでは?」という動画を見ることはあります。他人の指導に口出しをするのは気が進みませんが、恐らくそうしたことが表面化してきたのでしょう。

例えば、トレーニング業界では昔から「追い込むこと」が美徳とされる風潮があります。それ自体は決して悪いことではありませんし、必要なこともあります。

しかし、「まずそもそも筋トレをしていい段階にあるのか」ということを考える必要があります。体が硬い、左右のバランスが悪い、背中が丸まっているなど、人によって体の状態は違います。そこで筋力アップのためのトレーニングをすれば怪我のリスクが高くなるのは当然と言えます。

「お客様の健康を守ること」を第一に考えなければなりません。そうした理由から、僕の指導では、はじめの段階ではウエイトを扱うことは最小限にとどめています。例えば、一日中デスクワークだった会社帰りのお客様にウエイトを扱っていただくことはできません。怪我のリスクが高いからです。ウエイトを使うにしても、入念にウォームアップを済ませた後の、最後のほうになるでしょう。

そして、あまり知られていないことですが、ウエイトトレーニングで得た筋肉は、ウエイトトレーニングを同じレベルで続けなければ維持できないということです。これからもずっと続けるという場合を除き、例えば「2ヶ月だけ」といった方法は個人的には好みません。

それならば、機能的な体をつくることで「いつでも動ける」という体を目指したほうがいいと考えています。まずは「きちんと下地をつくりましょう」ということです。下地ができた後であれば、あとはなにをやってもOKだと考えています。

例えば、街中でランニングをしている人を見ても、上下に跳ねながら走っている人、左右に揺れながら走っている人、ガニ股で走っている人など、人それぞれ走り方に個性があります。

「もっとこうしたほうがいいよ」とアドバイスするのは簡単ですが、問題は「ランニングをするための最低限の体の機能があるのか」ということです。土台のないところにフォームの修正をしたところで、また別の問題が起こるのでは、と考えています。

これからは、可能な限り、お客様にはFMSを実施していきたいと考えています。というより、すべきだと考えています。それはあくまでお客様を守るためです。スコアが低いまま運動を続けても、良い結果は生まれないだろうからです。

FMSの商標にもなっている「Move well, Move often(正しく動き、よく動く)」。続けていればそのうち良くなるよ、という考えが一般的ですが、そうではないと。まずは正しい動きを学習し、それからよく動くようにすること、が大切ということです。見た目も大切ですが、それは機能ありきの話だと僕は考えています。

FMSの詳しい解説は、以下の記事をご覧ください。

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