最愛の彼女にフラれ、始業式の日に退学届けを提出し、海外に飛び立ち、パーソナルトレーナーになった話。

本日、成人式を迎えた皆様、おめでとうございます。コロナウイルスの影響で式典に参加できなかった方も多いかと思いますが、素晴らしい20代を送れますように。

さて、20歳という齢は若いながらも色々悩む時期です。ここをどう過ごすかによって、人生を大きく左右すると言っても過言ではありません。

僕は、高校卒業後、4年制の大学に入学しました。アルバイトをしながら、合コンで知り合った年上の彼女と楽しく過ごすという、ごくごく普通の日常を過ごしていました。そう、20歳になるまでは。

その頃、将来の夢はありませんでしたが「満員電車アレルギー」「誰かの下で働くのが苦手」「そもそも集団が無理」というひねくれた性格上、サラリーマンにはならない(なれない)という確信はありました。

会社の経営に興味があったので、会計学部に所属し(今思えばなぜ経営学科に行かなかったのか)、企業分析や経営戦略、マーケティング、会計などについて勉強していました。学業のほうは順調でしたが「将来どうしよう」「特にやりたいこともないしな」とも感じていました。

そんな時、一つの転機が訪れます。当時、僕の彼女は違う大学の英米文学部に所属しており、ある時、大学の留学プログラムを利用して1ヶ月だけカナダに留学することになりました。

当時はスマホもないし、Wi-Fiもなかったために、1ヶ月の間はほぼ連絡は取れませんでした。若い頃の連絡の取れない1ヶ月というのはとても長いものです。そして、やっと彼女が帰国。空港まで迎えに行ったら、その帰り道に別れ話になったのです。ものすごく簡単に言うと、フラれました(笑)僕は「なんでだよ」「どうしてだよ」「そんなこと言わないでくれよ」の一点張り。そんなわがままが通用するはずもありません。海外に行くことで新たな価値観を身につけたのか、ジェーソンステイサムみたいな男性に出会ったのか、そもそもそんなに好きじゃなかったのか、原因はよくわかりませんが、とりあえずフラれました(笑)

それはもうショックで勉強どころではありません。しかも、将来について考えていた時期でしたので、なおさらへこみました。そして、彼女(いえ、元カノ)に嫉妬してなのか、憧れてなのかわかりませんが「とりあえず英語だけ話せたら、将来なんとかなるんじゃないか?」という超短絡的な発想が浮かびます。冷静に考えるとそんなはずないわけですが、当時の僕はそう思ったんでしょう。

昔から海外に対しての憧れは強く、中学・高校の頃から英語だけは一生懸命勉強していたので、常に学年トップの成績を納めていました。また、高校生の頃、アームレスリングの世界選手権に出場したことも、海外に対しての憧れを強めていったキッカケです。

ただ、会計学部に所属していましたので、大学の留学プログラムを利用することができません。なので、大学を休学し(一年延長)、個人的に留学をする形しかありませんでした。

そして、留学先に決めたのがオーストラリア。語学学校の選択肢が多く、比較的良心的な費用で、街並みも綺麗だから、という理由です。あくまで語学留学なので専門的なことを学ぶのではなく、英会話を中心に学びます。20歳という多感な時期であったこともあり、すべてが新鮮でした。授業は英会話が中心なのですぐに友達ができるし、学校が終わってもルームメイトと出かけたり、週末は公園でBBQをしたり、自転車であちこち回ったり、毎日が本当に充実していました。

「英会話は日本で勉強してから行ったんですか?」とよく聞かれますが、まったく話せない状態で行きました。昔から英語の成績は良かったけれど、それはあくまで「学校用の英語(試験で点を取る用の英語)」なのでまともな英会話ができるはずがありません。話せたとしても、簡単な挨拶や基礎的な文法を組み合わせた程度のレベルです。なので、はじめはとても苦労しました。伝えたいことが伝わらない、細かいニュアンスが伝わらない、相手を誤解させてしまう、といったことの連続で落ち込むことが多々ありました。

ただ、不思議です。その環境でしばらく暮らしていると、次第に適応してくるのです。はじめの3日くらいは先生がなにを話しているのかサッパリでも、1週間くらい経つと少しずつ何を話しているのかが分かってくる。スピーキングに関しても、はじめは頭の中で「日本語 →(転換)→ 英語」というように、ワンクッション時間が必要だったけれど、英語オンリーの生活をしていると、伝えたいことがすぐに英語として言葉に出るようになるんです。すると、日常生活も円滑に送れるようになるし、居心地も良くなってくるわけです。

 

なので、英会話において一番大切なのは、正しく発音ができるか、正確な文法が使えるか、といったことではなく「懸命に伝えようとする気持ち」なのだと感じました。言葉に詰まったり、発音が多少おかしくても、まずそれを笑ったりする人はいません。日本人は上手いか下手かで判断しがちですけど、逆にそういうことを気にしすぎることが、英語力の成長を妨げていると思います。あくまで「伝えること」が目的であって、格好つけることが目的ではないんですね。そうしたことも自分にとってはとても新鮮でした。もっと自由に考えていいんだな、もっと楽しく考えていいんだなという感じに、考え方の幅は広がっていきました。

少し話が脱線してしまいました。留学期間は1年間で、そんな充実したオーストラリアでの暮らしも終わりを迎えようとした時のことです。「もうすぐ日本に帰って、また大学生活に戻らなきゃならないのか」と考えていた頃でした。週末の夜、学校のジムでトレーニングをしていた時のことです。みんな外に飲みに行ってしまっているので、ジムはガラガラ。いるのは僕と欧米系の男性の2人だけ。ちょうど近くでインクラインベンチプレスをしていた彼が、バーベルを持ち上げられずに潰れているところを発見。急いで救出したのです。

その時に言われた「Thanks, man.」という言葉がすごく嬉しかった。自分が長年続けてきたトレーニングが、初めて人の役に立った瞬間だったと思います。それだけ?と思いますが、当時の僕にとってはとても嬉しかったのです。そこで「これだ、もっと安全で正しいトレーニングを伝えていきたい」「自分がやりたいのってこういうことなんじゃないか」という気持ちが芽生えてきたのです。純粋にトレーニングが好きでしたし、それを仕事にできるって素晴らしいことだなと感じたのです。ここが僕のパーソナルトレーナーとしての原点です。

そこからはもう一直線です。一度やると決めたら目標に突っ走るタイプなので、あらゆる覚悟を決めました。まずは、パーソナルトレーナーの勉強をするために、フィットネス先進国であるアメリカの大学で勉強することに決めたこと。そして、そのために日本の大学を辞める決意をしたことです。

オーストラリアから帰国後、友人にそのことを話すと「大学辞める?お前馬鹿じゃないの?」と言われましたね。同じ会計学部の友達からも見放された感じでした。みんな冷たいなぁと思いながらもまったく気にしない。自分が決めたことなので気持ちは少しも揺らぐことはありませんでした。散々迷惑をかけた親にも謝罪文を書いて、なんとか説得することができました。

そして4月。新学期です。桜が綺麗に咲き、校内には友人との再開を喜ぶ楽しそうな声が聞こえます。そんな中、僕は「退学届」を提出しにいきました。窓口で「すいません、こちらをお願いしたいんですど」と伝えると「え、あ、はい、わかりました!」と受付の女性が驚いていましたね。まさか始業式の日に退学届を提出しにくる生徒なんていないんでしょうね。

こうして日本での大学生活は1年で終わりを迎えました。このままあと2年も3年もダラダラ過ごすのは、親にも失礼ですし、なにより”平凡な”将来しか待っていなかったことでしょう。自分のやりたいことも決まっているから、それならもう次のステージに踏み込む以外の選択肢はないなと。

もちろん失ったものもありますが、ただ、それ以上に得られたもののほうが自分にとっては遥かに大きかったです。今でもあの時の選択は正しかったと思いますし、色々遠回りもしましたが、そうした経験があって今の自分がいるのだと思います。ちなみに留学中だったので、成人式には参加していません。

まず参加していたとしても「大人になりきれない大人」を見るのが嫌だったでしょう。今もそうですが、その頃の僕はもっとひねくれてましたから(笑)オーストラリアでクラスメイトの日本人に日本語で話しかけられても、英語で返していたくらいですから。それくらい強く自分を持っていたかったのです。まぁ、でもひねくれてますね。

最後に一言。

自分の人生で一番後悔するのは、自分で選択しなかったこと。あなたの選択が正しかったか間違っていたかという結果はさほど重要ではない。その選択が自分の意思によって下されたものであれば、誰が何を言おうと、どんな状況であろうと「正しい」のである。だから胸を張って生きればいい。

改めて、本日成人式を迎えた皆さま、おめでとうございます。

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