裏銀座縦走コースは、長野県の北アルプスの代表的なロングコースの一つです。
表があれば裏がある。以前ブログでご紹介した表銀座縦走コースの反対側にあるコースです。



鷲羽岳や水晶岳、三俣蓮華岳など北アルプスの名峰を楽しめるという豪華コース。テント泊となると要求される体力レベルも一級クラスです。
単独なので不備がないようきちんと準備をしてから臨みました。
Contents
哀悼の意を込めて
裏銀座縦走に挑戦する8日ほど前に、20年飼っていた愛猫を亡くしました。家族であり、友達であり、最高の相棒でした。最期に立ち会うことはできませんでしたが、亡くなる前日まで、弱った身体で自宅の階段を懸命に上っていたそうです。そんな姿を想像したら、今回の挑戦は最高クラスの難易度でしたが、どんなに辛くても諦めるわけにはいきませんでした。

日本三大急登『ブナ立尾根』からスタート
初日は、高瀬ダムから烏帽子小屋までの6時間のルートです。夜明けとともに登り始めます。



登山口に到着。約5時間かけて、日本三大急登の一つ『ブナ立尾根』を登ります。草木に囲まれているとはいえ、太陽が昇ってくると気温も上昇。ただでさえ急登なのに、身体もメンタルも大ダメージです。


烏帽子小屋に到着
やっとの思いで烏帽子小屋に到着。この日はここで一泊。テントを張って、烏帽子岳まで登りに行きました。往復2時間ほどです。



気の遠くなるような2日目
2日目は、黒部の秘境にある「三俣山荘」を目指します。野口五郎岳、水晶岳、鷲羽岳を経由する長い一日です。途中に幕営地がないため、テント泊の場合は11時間ほど歩かなければなりません。




水晶岳に着いた時はあいにくの天候でした。しかし、次の鷲羽岳に登る頃には雲が流れ、北アルプスらしい雄大な景色を眺めることができました。数分後には晴れ、数分後にはまた一面雲で覆われるのが北アルプスです。



鷲羽岳を越えると、北アルプス最奥部にある三俣山荘が見えてきます。やっと長い一日が終わろうとしています…

黒部の秘境『三俣山荘』に到着
三俣山荘に到着。北アルプスの最奥部に位置しており、黒部ダムで有名な黒部川の源流があります。黒部の山賊(山と溪谷社)の著者として有名な故・伊藤正一さんが守り続けた山小屋です。




まさかの撤退か。嵐の3日目。
3日目。この日は三俣蓮華岳、双六岳を経由して、槍ヶ岳を目指します。朝方から強い雨が降りました。

なんとか双六小屋に到着。この先は、西鎌尾根という険しいルートを通るので、天候がこれ以上酷くなるようであれば命に関わるので、エスケープルートで下山することも視野に入れていました。


奇跡が起こりました。硫黄乗越付近で、絶滅危惧種に指定されているニホンライチョウに遭遇しました。後に調べたら、天敵に発見されにくいため、天候の悪い日に行動する習性があるそうです。
この時、前に進むことが困難なほど強い風に襲われましたが、そんな過酷な環境でもニホンライチョウの必死に子を守る姿に励まされました。

『槍ヶ岳』に到着
必死の思いで槍ヶ岳に到着。諦めなくて良かったです。登り切りました。

槍ヶ岳山荘でカップラをいただきました。今まで食べたカップラの中で一番美味しかったです。本当に感謝です。

いよいよ下山日。
4日目。この日も朝から激しい雨。テントを撤収して下山開始です。新穂高温泉に向かいます。


新穂高温泉に近づくにつれ、少しずつ太陽が顔を出してきました。

長い挑戦が終わる
11:30 新穂高温泉に到着。何のトラブルもなく無事に下山できました。

奥飛騨の温泉郷、平湯へ。
4日ぶりの入浴と食事です。美味しい飛騨牛を求めてあんき屋へ。その後は、平湯の森でゆっくり温泉を楽しみました。


なぜ山に登るのか。人それぞれ背負っているものは異なります。5日分の衣食住を詰め込んだザックは想像を遥かに越える重さです。しかし、それ以上にもっともっと大きなものを背負って登りました。絶対に諦められない挑戦がそこにあります。