【槍・穂高縦走・単独テント泊】第2章 西穂山荘 〜 ジャンダルム 〜 穂高岳山荘

槍穂縦走2日目。いよいよ国内最難関ルートへの挑戦となります。

この日は12時間の計画。途中に小屋などの休憩ポイントはありません。

天候が良く、景色も素晴らしいですが、太陽が容赦なく照りつけます。余裕を持たせて4リットルの水分を携行しましたが、目的地についた時にはほぼ空の状態でした。

生きて帰ることここではそれだけが目的です。

(ブログ中の映像は私自身が撮影したものです)

[box01 title=”ルート(2018年8月2日)”]

  1. 西穂山荘
  2. 独標
  3. 西穂高岳
  4. 天狗のコル
  5. ジャンダルム
  6. 奥穂高岳
  7. 穂高岳山荘

[/box01]

今日という一日を大切に。

3:00起床。予報通り快晴。澄んだ空気が美味しい。

4:30出発。いよいよ長い一日がはじまります。

5:23 丸山に到着。

6:18 独標(11峰)に到着。

富士山から八ヶ岳、南アルプスが見えるほどの眺望。

徐々に日が昇り、気温も上がってきます。

毎年、滑落事故の起きているこのルート。わたしが登った一週間後にも、この付近で男性が120mほど滑落し、お亡くなりになった悲しい事故がありました。まだ核心部ではありませんが、逆にそういうところに危険が潜んでいるのが山の怖さでもあります。

[box04 title=”事故はどんなところで起きる?”]

意外に思うかもしれませんが、危険箇所と呼ばれる場所では事故はあまり起きていません。むしろ、危険箇所を通過した直後や「なんでこんなところで?」と思うようなところで事故は多く起きています。最大の原因は気の緩み。登山だけでなく、多くのことに通じる大切な教訓だと思います。

[/box04]

[box04 title=”8峰とか4峰ってなに?”]西穂高独標(11峰)から順番に10峰、9峰、8峰(ピラミッドピーク)、7峰、6峰、5峰、4峰(チャンピオンピーク)、3峰、2峰、1峰(西穂高岳)のように小さなピークがいくつも連なっています。[/box04]

西穂高岳に到着。

西穂高岳に到着しました。ここでリターンする方がほとんどでした。山頂で若いお兄さんたちが『いつか槍ヶ岳までつなげる変態縦走しちゃう?』と話していました。その変態縦走中の人がここにいますよっと。頭にビデオカメラをつけているのがさらに変態感を強めていますね。軽く栄養補給して先を急ぎます。

西穂高岳を過ぎてもこのような急峻な岩場がこれでもかというくらい続きます。一歩でも踏み外せば本当にアウトです。

名物『逆層スラブ』。

難所のひとつである逆層スラブです。逆層状になっているため、足を置く場所が限られています。靴底のフリクションを効かせながら、滑り落ちないように慎重に登ります。

天狗岳に着きました。

11:50 天狗のコルに到着。最後のエスケープルート。ここを過ぎればもう引き返すことはできません。実はあまりの恐怖にすでにメンタルが参ってしまっており、本気で帰りたかったです。笑

天気も良い、体調も良い、準備も万全。帰る言い訳がなにひとつ見つからないので、遠くに見える上高地を横目に黙って先に進みます。

越えても越えてもひたすら現れる岩壁。20kgのテント装備だとさすがに応えます。

雲行きが怪しくなってきました。

不穏な空気とともに、突如目の前に現れたドーム状の岩稜。ジャンダルムです。

このドラクエ感。よく見ると3人ほど人がいます。山のスケールの大きさが分かりますよね。

ジャンダルムの山頂に向けて慎重に登ります。ルートファインディングが難しいと言われており、わたしも自分の進んだルートが正しかったのかどうかは分かりませんでした。

[box04 title=”ルートファインディングってなに?”]ルート=道 ファインディング=見つけること。地図やコンパス、自分の目によって正しいルートを見つける技術のこと。[/box04]

悲願のジャンダルム登頂。

なんとか登頂することができました。ジャンダルムの天使さんとツーショットを撮るのが夢だったんです。わざわざ三脚かついできた甲斐がありましたよ。

ロバの耳と呼ばれる難所を越えてきました。中央に見えるドーム状の岩稜が先ほどのジャンダルム。たった今通ってきたはずのルートですが、あまりの険しさに、どこをどう通ってきたのか、写真を拡大しても分かりません。

最大の難所『馬ノ背』。

核心に着きました。馬ノ背です。

またがりながらゆっくりゆっくり歩を進めます。一歩でも踏み外せばアウト。

無事に通過。重くても三脚を持ってきて良かった。最高の一枚をおさめることができました。次はもう持っていきません。

笑われてしまうかもしれませんが、この時、あまりの恐怖で足がずっと痙攣し、涙も止まらなかったのを覚えています。普段はそんな性質の人間ではありません。人間、極限の状態になるとなにが起こるかわかりませんね。

 

日本3位の高峰にして、日本1位の難易度。

日本一高い山は富士山です。二番目が南アルプスの北岳。そして、ここ奥穂高岳は三番目に高い山。しかし、険しさは一級クラス。山の高さと難易度はほとんど関係がないのです。奥穂高岳は厳しい試練を乗り越え、限られた人のみが到達できる境地です。

穂高岳山荘に到着。

17:27 穂高岳山荘に到着。13時間登り続けました。日没前になんとか着くことができました。

テントを設営して夕飯の準備をします。猛暑の中、13時間登り続けた長い一日が幕を閉じます。この日の最後に見た美しい夕焼けは生涯忘れることはありません。

しかし、まだ闘いは終わっていません。翌日も北アルプス屈指の難所大キレットが待ち構えています。無事に目的地である槍ヶ岳に着くことができるのか。不安と緊張で胸がいっぱいのまま床につきます。

苦労を経験した者だけが見れる世界がそこにある。

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